僕のホストファミリーの家には、Emreというトルコからの留学生がいます。彼は現地の大学に通っていて、博士課程の学生です。
ある日の晩ご飯、Emreと一緒に食べていたのですが、Emreが僕のことについて聞いてきました。話をすると、「僕も同じような道を歩んできたよ」と言ってくれました。
彼は僕にアドバイスをくれました。1~2時間かけて。それも、僕が聞き取れるようにゆっくり丁寧に。
「日本の大学を卒業して、アメリカの大学の博士課程を取りに来れば、奨学金を受けながら学校に通うことができる。外国で博士号を取ることができれば、たくさんの企業が君を欲することだろう。たくさんの人たちと連絡を取れる、世界で働くことのできる、君が言ったように人を笑顔にできる仕事ができるだろう。
もし日本に戻ったとしても、世界の人と連絡を取ったり、外国で行われる会議に参加したり、他国の企業と契約を交わしたりできる貴重な人材になるんじゃないかな。君がCEOになれば、世界で活躍できるだろう。例えば、HONDA。日本の企業だけど僕はHONDAの車をよく見る。君には、HONDAのCEOを目指してほしい。
アメリカでは企業に就く前に2年間の猶予がある。その2年間で何か実績を残せば、君の評価はますます上がるだろう。アメリカの企業に就けば、自分たちの国で働くよりもはるかに多いお金を手に入れられる。
アメリカの大学に入るために君がやらなければいけないことはたくさんある。
日本の大学ですべての単位で3.5以上をとって卒業すること。何かプロジェクトに参加すること。そのプロジェクトでリーダーになること。アメリカの大学は、たとえ勉強ができたとしても、何もしなかった人を必要とはしない。リーダーになって人々を引っ張る力があることを示さなければならない。将来の現実的な目標を英語で書いてアメリカの大学に送ることも重要だ。どこかの大学がその文章を読んで、君の事を見つけてくれるだろう。それに、人と関係を築くこと。今回出会ったたくさんの人と連絡先を交換すれば、いつか君がその国に行くことになったときに、支えになるだろう。
君は若いときに留学ができて、若いときにこの話を聞くことができて幸運だ。僕のクラブのリーダーは、君と同じくらいの年齢か、少し上なだけだ。でも、彼女はとても能動的だ。彼女は中国人だそうだけれど、英語もとても上手い。僕が動き出したのは少し遅かったけれど、君はまだまだ若いし、賢いと思うから、君ならできると思う。
日本で一番賢い大学、東京大学でも、世界で見るとほら、23位だ。世界で見ると全然1位じゃないんだ。世界で見ても良い大学に入るということは、そう簡単なことではないということだ。もっと上の大学を目指してほしいと思う。
君が成功の道を歩むことができたら、そのときは是非、僕に手紙でも送って知らせてほしい。」
今まで、外国の大学に入学するなんて考えたこともありませんでした。なので、Emreの言葉にとても驚きました。そんな人生が僕にはあるのかと。確かに、僕はまだ18歳。やろうと思えばどんな人生も選べる気がします。そんなことに、Emreは気付かせてくれました。
自分はずっと日本に生まれて良かったと思っていたので、どこか違う国で学位を取ったりだなんて考えたことがありませんでした。外国で働くってどういうことか考えたのも、シリコンバレーに行ってから初めてでした。
アメリカの大学院に行かないにせよ、いろんなことを体験して、知識を身に付けていくことが、自分が将来楽しめる仕事に就ける鍵になるのかな、と思います。
自分は将来、いろんなことに携わって、新しいことをいろいろ体験できる仕事に就きたいと感じました。将来自分が何かに迷ったときも、「新しい体験をすることは楽しいこと」と気付けたのは何かの助けになる気がします。いろいろなことに挑戦して、その挑戦を楽しめたらいいなと思います。
将来の夢、今まで特にこれといった夢はなく、いつも漠然としたことを言ってきました。まだ夢は持っていないけれど、新しいことを体験するのが好きで誰かの笑顔を見ると嬉しくなる僕にとって、発展を目指して開発をしていく仕事は楽しめながら誰かのためになるんじゃないかなと思います。いろいろな開発プロジェクトに参加するためにも、置いていかれないようにたくさんの知識を身に付けていかないなといけないなと思いました。
今まで聞いたことのないことを聞かせてくれたし、今後の人生と向き合うチャンスをくれました。そして、これからの勇気をくれました。
この話を聞いたとき、本当に嬉しかったです。Emreのこの話が聞けただけでも、留学に来て本当に良かったなと感じました。