2019年3月29日金曜日

ドイツ建築留学 #5

どうも石井です。
今回は僕が今しているインターンというものに関して書こうと思います。
実は今建築業界ではインターンというものが大きな問題になっています。
つい先日こんな出来事がありました。(引用:https://www.theguardian.com/artanddesign/2019/mar/22/row-unpaid-interns-serpentine-london-gallery-pavilion-architect-project)記事の先は英語なので概要だけ説明しますと、今年のサーペンタインギャラリーを設計することになった石上純也という建築家の事務所がサーペンタインギャラリー設計チームのインターンの募集をかけたのですが、その待遇が無給、勤務時間午前11時~深夜勤務、週休1日、期間2~3カ月(以上)、自前PCでの作業、外国人の場合は招待状は出すがビザ取得は自力が条件などと労働基準的にアウトなもので、それに大して西欧の人間が痛烈に批判しているというものです。
確かに酷い労働条件だとは思います。また、石上さんの事務所が実際のところどうなのかはよく分かりませんが、所員の他にインターンを投入して、インターンに丸乗りしないと業務が回らない状況なら建築を設計する環境として健全では無いと思います。
また、今回の事件を皮切りにオープンデスクというものについての議論も巻き起こっています。オープンデスクとは日本の建築業界の言葉で設計事務所や建築事務所などで、実務を経験させてもらうことです。要はインターンと大して変わりません。
しかし、インターンは有給、オープンデスクは無給と考えている建築家が多いです。
今回の事件が飛び火して、日本の建築家は今無給のインターンやオープンデスクについて議論し始めています。大半の意見としてはオープンデスクは取りやめ、有給のインターンシップのみを今後執り行うとするが、事務所にとってコストがかかる話になるので事務所の近くの学生で長い付き合いが出来る人やインターンシップ採用のハードルを上げて真に優秀な学生のみに限定するというものです。
 個人的にこの状況は学生にとって非常にまずいと思っています。
大半の無給のインターンやオープンデスクに参加している建築学生は働くというよりかは学ぶという意味でインターンやオープンデスクに行っています。つまり学習塾に行くのと感覚は一緒です。また、学びたいという意思を持ち建築家の元で業務体験をしてみたいと考えている建築学生は山ほどいます。
今回の騒動の結果オープンデスクやインターンの受け入れ先の数が大幅に減少すると思います。僕は労働基準の話も大事ですが、学生に学びの場を提供する事も等しく大事だと思っています。
この先インターン先探しが就職活動のように厳しいものになるかもしれないと考えたら、学生にとって好ましくない状況になると思うのでまずいと思うのです。
 古来より「若いうちはただで働いて技術を盗んで成長する」といったギルド的な関係が日本に限らず存在しましたし、専門知識が必要になる職能ではそれが慣習として現代まで引き継がれていたりします。
西欧ではインターンの学生に一定の額以上の賃金を支払わなければいけないという法律があります。ただ、西洋ではギルド的な関係が無くなり学生インターンシップを「労働力」として位置づけているのと違い、日本ではあくまで「教育」として位置づけにあると思います。だから、西欧の人は石上さんを糾弾してるんだと思います。
 ただ僕の意見としては日本と西欧のインターンについての考えは違うんだからいらない口を出すなと思います。極論無給が嫌ならインターンに行かなければいいと思いますしね。そんな事以上に学生の学びの場を作る方が大事だと思います。
 しかし、学生を無料人材ととらえている実務者や長い労働時間にも関わらず、生きていくのがギリギリのレベルの収入しか得られていないアトリエ系事務所勤務者が多い状況は、健全ではないと思います。日本建築業界をあげて労働条件を整備していくタイミングなのかもしれないですね。 何れにしても根深い問題であることに間違いは無いです。
より能力の高い建築学生でなければインターンのチャンスでさえ得るのが難しくなるのが予想できるので、僕は自己防衛として精進したいと思います。

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