こんにちは、徳田朱莉です。
今日はトンネル出口近くのコンクリート打設を見学しました。
ポンプ車でコンクリートを持ってきて、組まれた鉄筋の中に流し込んでいました。
ただ、外国で施工を行う際、日本と同じように進行するわけではありません。
作業員の質や限られた機械・材料のせいで、思うように施工が進みません。
・鉄筋コンクリートの鉄筋の長さがバラバラで被りが均等でない。
・広大な施工域に対して、バイブレーダが1台しかなく、振動を与える前にコンクリートが固まり始めてしまう。
・大量に地下水が溜まっている場所にコンクリートを打設する。
・作業員が途中で作業を止めてしまう。
ざっと挙げただけでも、日本では考えられないような事がたくさんです。
だからこそ、海外はおもしろいんだとも言えますが、それ以上にずっと大変な現場なんだと思います。
午後からは設計計算書の確認を行いました。
計算書は「自重・静水圧・動水圧」を想定してそれぞれの力のモーメントを計算し、転倒の危険性や構造物が滑らないかどうかを判断します。
私の業務は①そもそもこの計算は正しいのか ②他に想定できる力はないのか ③構造物に安定性はあるのか について検討することです。
まず、作業①に取りかかります。
自重と静水圧については難なく出来たのですが、動水圧の計算は正しいかどうか検討が付かなかったので、公式を探すところから始めました。
事務所には土木の本がたくさんあります。
その中の水理学の公式集から、同じ「流水圧(動水圧)」を表す公式が2つ出てきました。
その公式通りに計算すると、全然違う値が2つ出てくるんです。
結局、2パターンの計算書を作成しました。
どちらの値も韓国企業が計算した設計計算書の値とは合いません。
次に作業②についてですが、上司から助言をいただき、「揚圧力」を考慮する必要があると教えて頂きました。
ですが、契約形態上、揚圧力の計算は私達の仕事ではないので、韓国企業にお願いする必要があります。
その後、作業③を行いました。
この計算書では最終的に、偏心(剛心が重心からどれだけ外れているかを表した値)と安全率から構造物の安定性を評価します。
動水圧を考慮して、偏心と安全率を計算した結果、基準値を満たしていない箇所がありました。
そもそも計算書上の基準値が、契約書上の基準値と矛盾していました。
その後、韓国企業の担当者と相談し、私の感じた矛盾に対する答えをいただきました。
納得したもの、自分が至らず理解できなかったこと、絶対に違うと思ったこと、色々ありました。
今日学んだ事は、土木は教科書に載っている公式や値がそのまま使われることは少なく、そのときの状況や環境に合わせて変化させる必要があると言うことです。
良く考えると、場所は100個あるならば100通りの環境が存在するため、それを1つの公式で定義できるわけがないです。
(もちろん、ある現象を想定・評価する場合、公式をもとに計算するのですが、100%公式通りにいかないということです。)
動きが読めない自然の中で、この地面にインフラを建設することが、どれだけかっこいいことなのかを再認識しました。
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